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N邸が位置するのは、円山の裾野に広がるのどかな自然環境のなか。原生の立木が背後に迫り、いわば山と住宅地の境界を分かつようにして建てられている。自然との一体感を味わいながら暮らしたい。そんなオーナーの思いに応えて、住まいの外観もマツの下見板を外壁に用いるなど、周辺との調和を意識した素朴で上質な佇まいとなっている。
冬はスキー、夏はカヌーで川下りと、一年を通して週末はアウトドアを楽しんでいるというNさんご夫婦。一昨年の夏に訪れた、奥様の友人家族が所有するニセコのペンションがHOP建築だったことから、HOPと出会うきっかけが生まれ、その後モデルハウスを見学。木をふんだんに使ったあたたかみのある質感が気に入り、同社との住まいづくりがはじまった。
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できるならば森のそばで暮らしたいというほど、自然への憧憬が深いご夫婦。求めた土地は、円山の麓、道路以外は木立に囲まれた理想的な環境だった。住宅建築の際も、もともとある木は可能な限り残し、住まいと自然景観との調和に配慮。山側の傾斜地を生かして、住棟と裏庭をブリッジで連結するなど、敷地の個性を生かした工夫も随所に盛り込まれている。
玄関はルーバールーフを回り込むようにして設計。入り口に到着するまでのわずかな時間さえ、豊かな自然に包まれる至福のひとときだ。扉を開けると、正面突き当たりに大きな開口部があり、生い茂る樹木から漏れるおだやかな光が迎えてくれる。1階は寝室と和室、水回り、それに陶芸が趣味だという奥さまのために設けたホビールーム。玄関から土間でつながっており、土をこねたり、汚したりしても気にすることなく、創作に没頭できる。
家族のパブリックスペースとなるリビングは、見晴らしのいい2階に。東西南北4方に窓を設け、どの位置からも外の景色を一望できる。南に旭山の雄大なロケーション、北からは裏山の自然が迫るように視界に入り、東に堂々たる原生林の眺め。ここでしか味わえないパノラマを存分に傍受できるようにと、風景を切り取るように設けられたピクチャーウィンドウが、住まいと自然の一体感を高めている。窓から手を伸ばせば届くような大木には、バードテーブルを設置。餌をついばみにやってくる小鳥たちも、暮らしに彩りを添える大切な友人だ。見たこともない鳥が遊びに来れば、野鳥図鑑を手に取り、夫婦揃って名前を覚えるのも楽しみのひとつ。また、リビングから続くブリッジを渡って裏庭に出れば、野の花に囲まれての散策も日常のワンシーンに。春先ならば、カタクリやエゾエンゴサクといった可憐な花々が迎えてくれるそうだ。
2階は仕切りひとつないフルオープンのスタイル。1階から続く階段がリビングとダイニングをさり気なくゾーニングし、マツのムク材を使ったフローリングに、珪藻土の壁が、すがすがしい空間を演出している。造作には風合いのいいタモを、構造材には道産の間伐材を使用。レンガを積んだストーブのコーナーも、木の住まいに美しく溶け込んでいる。室内の要素をできるだけシンプルに抑え、空間そのものの質を高めるというHOPならではの住まいづくり。「円山の自然」という極上のインテリアを際立て、ご夫婦のライフスタイルにしっかりと応えているのである。
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