都市の住宅街にあって、そこだけ静けさをまとったかのようなU邸。江別レンガにモルタルを配した外壁、情緒ある三角屋根。クラシックモダンな佇まいは、昔の洋館をイメージしてデザインされたものだ。 匠の技術と感性で仕立てられた和と洋の美しき折衷。自然素材がもつやさしい手ざわり。
記憶の奥にある憧憬や、なつかしさといったものを呼び覚ます一邸である。
オーナーはご夫婦と娘さんの3人家族。新しい住まいを建てるにあたり、イニシアティブを取ったのは奥様である。
きっかけは一昨年の暮れ、HOPのオープンハウスを見学したときのこと。「運命的な出会いでした。クラッシクな雰囲気をもつ建物にひと目で惹かれ、その場で設計担当者をご紹介いただいたんです。」
奥様は異国情緒溢れる函館のご出身で、青春期の6年間を遺愛女子中学・高校で過ごしてきた。遺愛といえば120年以上の歴史を誇るキリスト教学校で、白い洋館の校舎は匡の重要文化財に指定されている。オープンハウスの印象と若き日の学び舎が重なり、すぐにも「私好みの家」と直感。
ムクの木を大切にした建築がとくに気に入り、その思いを設計者に伝えた。 |