一級建築士事務所アトリエ・AMのデザイン・設計力。石出和博率いる一流の建築家集団アム。
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 どんな土地に住むか。それは、どんな人生を志向するのかとイコールである。30代前半のKさんご夫婦は、北海道暮らしを望んだ東京からの移住組だ。ご主人は大学時代の1年を長万部で過ごし、それ以来、北海道の自然に魅せられたという。もともと釣りが好きで、若い頃は全国の渓流を旅して歩いたアウトドア派なのだ。
 転職にも成功し、最初に借りて住んだのは勤務地のある札幌。築年数がかなり経っていた建物でカビの悩みのタネだった。体にも悪い。どうせ引っ越すなら「自分たちの家」をと、価格が手頃な建売や規格住宅などを見学したが、いまひとつピンとこない。そうこうしているうちに土地から探すことにし、偶然出会ったのが千歳市の郊外、豊かな木立と川に隣接するこの場所である。
「川辺一帯はミズバショウの群落なんです。もう、ここしかないという思いで決めました。土地を買ったら建売住宅はありえないし、景色を最大限生かすならプランに制約のあるハウスメーカーもだめ。そこで、雑誌などで知っていたHOPさんにプランを出していただいたら、まさに僕たちが思う『自分たちの家』で。最初にマイホームを検討していた頃と比べるとずいぶん勉強にしましたから僕らも目が肥えていたのでしょう。間取りはもちろん、ムク材や自然素材をたくさん使うところも気に入りました」。

 スキップフロアで構成されるK邸は水回りを1階に集約し、暮らしの中心となるリビングを中2階に設計。ダイニングとキッチンを一体化したオープンフロアで、大きな開口部いっぱいに川の景色が迫るように飛び込んでくる。気温の低い冬の朝には目の前の樹々が霧氷で覆われ、幻想的な美しさを居ながらにして体験。雪解けの川辺に現れるミズバショウの郡生や,窓一面を緑のスクリーンに仕立てる夏も、今から楽しみだという。その一方で、これだけ窓が大きいのでセキュリティも気になったとご主人。「カーテンやブランドではなく、木製ルーバーの引き戸を特注でつくってもらいました。本州でいう雨戸の発想ですね。ルーバーには微妙な角度がついていて、外から内は見えず、室内からは景色がそれとなく見え、閉めても真っ暗にはなりません。建具のひとつにも細かい配慮をしていただいて、うれしいですね」。
 リビングにすっきり納まっているTVボードもオリジナルで、こちらは奥様のご希望。ソフトな足あたりとローコスト化のために使った床のマツ材はともすれば甘くなりがちだが、しっとりと落ち着いた雰囲気に仕上げているところもさすがHOPである。
 K邸におけるプライオリティの第1番が「眺望」なら2番目にくるのはなんと「七厘のあるキッチン」だ。業務用の陶製七厘がムク材のキッチンカウンターに整然と組み込まれ、ダイニングテーブルも兼用。真上には吸引力の高い大型レンジフード。これだけの設備を有しながらも、少しも品格を失わないところが造作デザインの巧みさなのだろう。住まいづくりは一生に一度という気持ちで、自らも学び、いろいろと望みを伝えたというKさんご夫婦。北海道生活2年目にして手に入れた住まいは、四季折々の自然を呼び込みながら、これからの人生をより楽しく、充実したものにするに違いない。



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