一級建築士事務所アトリエ・AMのデザイン・設計力。石出和博率いる一流の建築家集団アム。
HOP/東日本支社 HOP/本社・藤田工務店 HOP/京都支社
 1階を鉄筋コンクリート、2階を木造とした近代的な混構造。天然木をふんだんに配した室内は、和と洋がやさしく調和する落ち着いた空間。2階に設けたリビングからは、遠く阿児(あご)湾が見晴らせる。
 コンサルタント会社を経営する50代のオーナーが、別宅として三重県に建てた住まい。普段は京都にあるご自宅での暮らしが中心だが、ここでは非日常的な楽しさを味わいながらも、木のぬくもりに安らぐ家庭的な雰囲気が感じられるようにしたという。
 特徴的なのは、中庭の緑を住まいの各所から眺められるコの字型の設計。大勢のゲストにも対応できる広い玄関ホールは、中庭に面して開口部を大きく設け十分な採光と開放感を演出している。その明るさ、空間の広がりは、訪れる人にちょっとしたインパクトを与えるとともに、優雅な印象を抱かせるはずだ。居室からはもちろん、1階、2階の広い廊下からも中庭が望め、外とのつながりを大切にしたオーナーのこだわりが感じられる。
 造作についても「HOPの家」らしい木の香りでいっぱいだ。住まいの中で最も肌とふれあう床は、ナラのフローリング仕上げ。素足に心地良く、はっきりした木目が見た目にもすがすがしい。梁や柱には北海道産のタモ、天井にはタモのほか、地元産のスギを利用。自然素材が随所に使われた木の家は、まるで森の中で深呼吸するかのような清涼感を与えてくれる。これも、林野庁や北海道のバックアップのもと、建築資材の確保から、製材、設計、建築までをシステム化し、現代建築に伝統を吹き込もうとするハウジングオペレーション(HOP)の住まいづくりならではである。

 1階ホールには、和をイメージさせる朱色の塗りを施した飾り棚を設置。デザインにモダンなセンスを配したことで、洋とのしなやかな融合を印象付けている。照明はそれ自体が主張しすぎないようシンプルな器具をセレクトし、やわらかい光で室内を照らすように。中庭にも照明を設け、シンボルツリーの欅(けやき)をライトアップしている。
 大きな薪ストーブを中心に据えたリビング・ダイニングは、2階に設置して、眺望と自然光を贅沢に取り込んだ。インテリアのアクセントともなる薪ストーブが別荘気分を盛り上げ、あわただしい日常から心を開放してくれるかのよう。白い塗り壁と木のコントラストも、目にやさしくゆったりとした気分を誘う。
 和室のしつらえも本格的で、「炉」のある10帖の広間を中心に、奥様の趣味の空間となる茶室、庭から直接出入りできる土間も設けている。単に豪華さだけを謳うのではなく、オーナーの意向を映した自由なデザインと自然素材にこだわった住まいは、時間とともに深みを増し、古くなるほど美しく成長するに違いない。



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